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連載コラム【四条大宮の人】

#03
喫茶ハットリー 服部久子さん
長年愛されるお店と街に

「四条大宮の人」第3回目のインタビューは、終戦直後に開業され3代にわたり経営されていらっしゃる「喫茶ハットリー」の服部久子さんにお話を伺いました。

きっかけは戦時中に出会ったコーヒー

――現在3代目になると伺いましたが

終戦2年後の1947年が創業で、創業者は祖父の弟さん(大叔父)です。

その大叔父が戦地でコーヒーを飲み、「こんな美味しいもんを、みんな飲んでるんや!」とその味に衝撃を受けたらしく、終戦後帰国し、もともとの住まいだったこの土地で、当時の状況では仕事がなかったこともあり、コーヒー屋を始めたそうです。日本ではコーヒーが飲める喫茶店もまだ少なかったこともあり、これを仕事としてやっていけるのではと感じ開店したと聞いています。

その後、私の父が20歳の時に大叔父にお願いをして、2代目として店を引き継ぐことになりました。祖父が若くしてなくなったため、小さい兄弟を育てていくための生計をたてるためだったと聞いています。
1代目の大叔父は、代替りのタイミングで祇園にお店を出され、現在は修学院に移転し洋食店を経営されています。現在は、3代目として私と弟で経営しております。

――店名の由来はお名前でしょうか?

はい、名字です。
「ハットリー」という響きが、音がいいというか、覚えやすというか。お客様にそうお答えすると、結構笑ってくださいます。
ローマ字表記の場合は「Hattory」と最後は「y」になります。そのほうがバランスが良かったみたいです。

受け継がれるレシピ

――ハットリーさんのコーヒーの特長を教えてください

コーヒーは創業当初から変わらない方法で自家焙煎しブレンドしています。
以前は店の奥で焙煎していたのですが、煙がすごいので)。今は自宅で焙煎していますが、煙の量は変わりません(笑)。
コーヒー豆は、先代の頃とほぼ変わらないものを使用しているので、ありがたいことに長年ずっとお店に通って頂いているお客様も多いですね。豆の販売もしており、豆だけをご購入される方もいらっしゃいます。

――人気メニューはなんでしょうか?

モーニングは、断然トーストかたまごトースト。お昼の時間帯は、サラリーマンのご利用が多く、日替りランチとカレーライスが人気です。
カレーライスは、ずっとレシピを変えずカレー粉と小麦粉を炒ってイチから作っています。コーヒーと同じくらい定番の商品になっています。
最近では、若いお客様からサンドイッチをよくご注文頂いています。先代のときは1種類しかなかったのですが、3代目になってから6種類に増やしたところ、ブログやSNSで取り上げられることが多くなり、かなり人気も高いです。

――昭和レトロブームの影響もありますよね

私たちは、ただ古いだけだなと思っているんですけど(笑)、わざわざ調べて来店していただいています。
若いお客さまたちには珍しいようなのですが、グラスやカップ、ナプキンなどにロゴが入っているのをみて「可愛い〜っ」とおっしゃっていただいています。
女性のお客さまが多いですが、お一人やグループでこられて、クリームソーダかパフェかホットケーキを注文され、写真をいっぱい撮影していただいています。パフェメニューは、母が考案したものです。
そういったお客さまからの「このレンガの雰囲気がいいなぁ」「落ち着くよね〜」という声を聞くと、このままの姿が喜ばれていることを肌で感じています。

――大変歴史が長い経営をされていますが、客層に変化はありましたか?

先程のレトロブームの影響での新規のお客さまも増えましたが、間口も狭いため、中の様子も見えづらく入りにくかったり、通り過ぎてしまう方もいらっしゃいます。やはり、圧倒的に顔見知りの常連さまが殆どです。
コロナ前までは夜10時まで営業していました。現在は夜9時までに営業時間を変更しましたが、仕事終わりに立ち寄っていただく方もあります。ビールなどのお酒類やそのおつまみもあるので、ポツポツご注文いただいています。
有名人の方もよくご来店いただいているようなのですが、普段テレビを見ないので誰か分からないんです(笑)。ゆっくりしていただけるように、あえてお声は掛けないようにしています。
近隣にホテルが増えたこともあり、海外の観光客の方も立ち寄っていただくようになりました。

――お客さまとのエピソードがあれば教えてください

ご近所にお住まいの常連さまが、ほぼ毎日来店されていました。1日に何回も来ていただくことや、ときにはご家族数人で来られたりしていました。そのお客さまは亡くなられたのですが、その後もその方の命日にはご家族の方がご来店され、お供え物として当店のコーヒーをお持ち帰りいただいています。そういった形でも御縁を繋いでいただき、本当に有り難く感じております。

長年愛されるお店・街に

――かつての四条大宮はどんな感じでしたか?

開業当時は、阪急の大宮駅が終点で、あと嵐電と市電もあり、人も多く大変賑わっていたと聞いています。映画館やボーリング場もありましたが現在はなくなってしまい、その代わりではないですがマンションとホテルが増えたと感じています。

――商店街に加盟されて良かったことはありますか?

他店の方たちと知り合いになり、自分のお店と違う様々な商売のことを教えていただいたり、第三者から見たアドバイスがあったり、情報共有を兼ねて異文化交流ができることが良いですね。
親しくしていただいている方も増え、お店にも来てもらったりしています。

――これからの四条大宮に期待することはありますか?

『みんなが過ごしやすい便利な街。住みたい街ランキングに選ばれるような街』になって欲しいですね。 私たちのお店はその一役になれるよう、昔からある小ぢんまりしたお店でありながらも、ほっと一息つけて、それが毎日のルーティーンとなるような、お客様が気軽に立ち寄れるお店を常に心掛けています。

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自家焙煎コーヒーにこだわっています。そのコーヒーをゼリーにしてお出ししています。
常連のお客さまも初めてのお客さまにも、居心地の良い店内と味をご提供いたします。