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連載コラム【四条大宮の人】

#04
株式会社ワイングロッサリー 代表取締役 吉田真紀子さん
ワインを通じて、地域の方々とより交流を深めたい

「四条大宮の人」第4回目のインタビューは、現在本商店街の一番東にてワイン専門店を営んでおられる株式会社ワイングロッサリーの代表取締役 吉田真紀子(まさきこ)さんにお話を伺いました。

明治時代からずっと同じ場所で

――創業は150年近く前なんですね

まだ明治時代の1877年、私の先祖が食料品店として創業しました。そこから数えると147年ほど経過したことになります。1975年からワイン専門店のワイングロッサリーとなり、1982年に株式会社化してから数えると、私が3代目となります。
ワインの専門店にしたときも、最初の事業が食料品店でしたので、「食料品」の英語「グロッサリー」の言葉を残した店舗名になりました。
創業時の店舗は、現在の四条堀川交差点の真ん中あたりにあったと聞いています。戦時中、本土決戦に備えた道路拡張のために、国からの要請で別の場所に転居、その後またすぐに引っ越しをして今の場所となったそうです。元々は町家作りだったので奥に細長いのですが、私の幼少期にビルに建て替えています。(店舗のある)この場所が実家でもあるので、生まれたときから四条大宮に住んでいます!

――食料品店からワイン専門店に切り替えられた理由はなんでしょうか?

100年近く食料品店として営んできましたが、1970年代に入って私の父と母が『これから食べ物も洋服も文化も、生活様式は欧米化するだろう』という考えがあったようです。当時はホテルや高級レストランなどの一部でしかワインが提供されておらず、どこでも気軽にワインが手に入る時代ではなかったところに目をつけて、「これからワインだ」と思い、ワイン専門店へと舵を切ったと聞いています。
現在は取り扱っていませんが、当初はコーヒー豆をそのまま置いて、その場でローストと挽きも行って販売したり、親戚が輸入食料品店をやっていたため仕入れたクッキーなども最初は並べて試行錯誤していたようです。
40年程前は、昔ながらの酒屋さんがご近所にたくさんあり、またワインよりもウイスキーの方がメジャーな印象がある時代で、販売していくには大変だったようです。また会社を創立して10年程で父が亡くなり、その後は母が1人で苦労しながら経営を切り盛りしていました。ただ、会社創立前から一緒に経営を手伝ってくれていた叔父(ワイングロッサリーの顧問、四条大宮商店街振興組合の元専務理事でもある太田氏)の支えもあり、これまで経営を続けて来れました。

――なぜ、家業を継ぐことになったのですか?

最初は家業を継ぐなんて全く考えていなかったし、両親もそういったことを私には一切口にしませんでした。母は、父が亡くなってからひとりで商売していくのも大変だったので、もう自分の代で終わろうと考えていたようです。けれども、たまたま私が仕事を手伝う機会があり、その際にこの仕事の楽しさを多少感じてしまいした。
また、小さい頃から食べることが好きな食いしん坊(笑)だったこともあり、食に興味が深まり、大学では栄養学を専攻し、将来は飲食関係の仕事をしたいなと考えていたところ、「この仕事をすると美味しいものを食べられるよ♡」という母の一言に釣られました(笑)。
しばらくは母も手伝ってくれていましたが今は引退し、私が12年前に事業を引き継ぎました。

――イベントなども頻繁に開催されていますね

15年前から始めた「京都ワインフェスティバル」は、当社主催の年1回4月開催の恒例イベントです。新型コロナウイルス感染時期の2年程は開催できませんでしたが、今年は13回目の開催ができました。
左京区の関西日仏学館のお庭をお借りして、約15ブースでワイン150種ほどを提供し、業務で交流のある飲食店さんにも出展していただき、会場でワインを飲んだり料理を食べたりしながら、ワインの購入をしていただいております。同じ四条大宮でご贔屓にしていただいているお店には、第一回目から出店していただいております。
会場のお庭はとても素敵で、今年は全国的に桜が遅咲きで、タイミングよく満開となり、天候にも恵まれ、お客様には大変お喜びいただけました。
毎年イベント日が近づくにつれ天気が気になるばかりですが、今まで雨が降ったことがありません!今年もお客さまに「晴れ女!」と声を掛けられました(笑)。

他にも、店舗近くのイベントスペースでは、ワインの初級者から上級者向けの各種教室やイベントを行っています。また、世界のトップ生産者さんを招いてレストランにてディナー会を開催したりセミナーも行っております。

四条大宮は住みやすい街

――生まれたときから四条大宮にお住まいとのことですが、なにか変化は感じられますか?

知り合いに「四条大宮のイメージは?」と尋ねると、皆さんが「餃子の王将」の1号店の存在を言ってくれます(笑)。子供の頃には、現在の店舗ビルになる前のお店もよく行っていましたね。町並み自体は、私が小さい頃とは大きな変化はない気がします。
今は特急以上のクラスが停車しなくなってしまいましたが、私が生まれる前は阪急の終点だったこともあり、今以上に雑居ビルが多く、小さい飲食店がひしめき合い、多くの人で賑わっていたと聞いています。

近年では、コロナが明けてからホテルや民泊も再開したこともあり、また若い方が新しくオープンされる飲食店が増えてきているので、最近は段々と活気付いてる感じがします。今も四条大宮に住んでいることもあり、新しくできた飲食店にはよく足を運びますよ。

また私が子供の頃には、映画館があったので、よく見に行っていましたね。「僕らの7日間戦争」を大宮東映で見たことを覚えいています。複数あった映画館も今は全てなくなってしまったし、最近はお花屋さんや本屋さんもなくなったので、ちょっと残念です。様々な文化を感じられる施設や生活を彩るお店が復活してくれれば嬉しいですね。あと、ケーキ屋さんやパン屋さんも(笑)!!

――四条大宮の住み心地はどうですか?

弊社に就職後、四条大宮に引っ越してくるスタッフも多いですし、このエリアに永く住まわれている方もたくさん存じ上げているので、治安が良く安心感もあるので、住みやすい街であると感じています。
店舗の近辺をいつも大きな袋を拾ったゴミでいっぱいにしてお掃除してくださっている女性がいらしゃって、気になって声を掛けてお話したところ、この近所にお住いの方で、街をきれいにしたいという気持ちで自主的にお掃除してくださっているとのことでした。とても素晴らしい行いであると感銘を受けるとともに、四条大宮はそういった方たちの思いや活動で守られているからこそ、住みやすい街なのだと感じました。
もちろん、商店街の活動もその一環だと思っています。

住み心地とは違いますが、交通が便利だと京都はもちろん、その他エリアのお客さまにもご来店いただくことも多く、また壬生寺や二条城など観光名所にも近いので、観光目的の方にもお立ち寄りいただいています。

ハレの日にはいつもご利用いただけるように

――これからの四条大宮とお店との結びつきについてお話をお聞かせください

これまで弊社は、ワイン愛好家向け専門店という比重が大きかったのですが、商店街の活動に関わる中で、もっと地元の方にも気軽にご来店いただけるようになれればと感じています。
金曜日と土曜日に無料の試飲サービスをしているので、ちょっと遊びに来ていただく感覚で夕食のメニューに合うワインのご相談いただいたり、ハレの日や記念日などの特別な日には、いつもワイングロッサリーの存在を最初に思い出していただけるようになれば嬉しいですし、ワインを通じて地域の方々とより交流を深めたいと思っています。

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